かがり火に照らされた幻想的な野外能、
「薪能」の季節がやってきました。
佐渡では、例年4月から10月末まで、各地の神社や能舞台で薪能が開催されます。
今回は、先日「飛天双○能(ひてんふたわのう)」に参加して見つけた、
わたし流の能の楽しみ方についてご紹介します。
飛天双○能については、ぜひ4月3日のさどカラーよりご覧ください:
正直なところ、私は最初、能がほとんどわかりませんでした。
言葉は聞き慣れないし、動きもゆっくり。
「今、何が起きているんだろう?」と迷子になることも。
でも、朝から晩まで、島内の能舞台を巡りながら何度も見ているうちに、
少しずつ、楽しみ方が見えてきたんです。

情景を想像する
能は、話し言葉がとてもゆっくりです。
能楽師の方によると、それは「聞きながら、情景を思い浮かべるため」だそう。
例えば、
「帆をあげて」そう聞こえたと思った次の瞬間には、「島かげや」と続く。
船に乗ったと思ったら、もう船は漕ぎ出し、島を離れていくのです。
まるで、一コマずつ絵を見せる漫画のように、
情景が少しずつ立ち上がっていく感覚でした。
YouTubeやSNSのように、次々と情報が流れていく日々の中で、
想像する「余白」を楽しめる、貴重な機会のように感じました。
最初は「ストーリー予習」がおすすめ
とはいえ、能には昔の言葉も多く、
聞いているだけでは内容を追いきれないこともあります。
そんな方は、最初にストーリーを調べてから見るのがおすすめです。
ネットで演目名を検索すると、現代語のあらすじを読むことができます。
「この人物は誰なのか」
「どんな気持ちで舞っているのか」
それがわかるだけで、見え方がぐっと変わります。

「能面は生きている」
能面についての講演を聞いた際に、印象的だったのが
「能面は舞台上で表情を変えます」という言葉。
最初に聞いた時は、「そんなまさか」と思っていました。
でも、ストーリーを聞きながら見ているうちに、
さっきまで厳かに見えていた能面が、ふと悲しそうに見えた瞬間があったんです!
物語や舞によって、同じものでも見え方が変わる。
そんな不思議な感覚を、ぜひご体験いただきたいです。

今年の薪能のスケジュールはこちら:
ぜひ、幽玄な世界を味わいにきてみてください。



ライター:
『さどタイムス』エディター
中村 水咲
兵庫県出身。新しい世界への好奇心から、これまでに約40カ国へ渡航。
ラトビアでのアリが添えられたシャーベットとの出会いや、
フランスでクロワッサンとサラダを一緒に食べて怒られるなど、
日常の先にある非日常な体験に心を動かされてきた。
ご縁をいただき辿り着いた佐渡島では、
豊かな自然や文化、食のなかに、 “究極の日本らしさ”を感じ、深く惹かれる。
そんな私から見た佐渡の魅力を、この島からお届けします。