さどカラー

日本で一番近くで見れる三尺玉。地域の人がつなぐ「小木港祭り」


佐渡の夏を締めくくる「小木港祭り」。

鉱山祭」、「両津七夕祭り・川開き」と並ぶ、佐渡三大祭りのひとつです。

約400年前、小木港が金銀の積み出し港として栄えていた頃、
航海の安全を願って木崎神社に米を奉納したことが始まりとされています。

例年約2万人が訪れるというこの祭り。
2026年は8月29日(土)と30日(日)に開催されました。

「日本で一番近くで三尺玉が見られる」として有名ですが、
私が訪れて驚いたのは、夜の花火だけではありませんでした。

朝から町のあちこちで、小木ならではの「小獅子舞」や「大獅子舞」、
宿根木の「ちとちんとん」など、普段なかなか見ることのできない伝統芸能が繰り広げられます。

その一つに、羽茂高校郷土芸能部による「民謡流し」があります。

舞台は木崎神社。
踊りが始まる前、高校生たちはみんなで祈りを捧げており、
民謡流しが単なる「芸能」ではなく「祭り」として受け継がれていることを感じる瞬間でした。

全校生徒が60人弱という中で、14人が踊りを披露。
大人とはまた違う、どこかフレッシュな雰囲気が新鮮でした。

木崎神社を出ると、聞こえてきたのは「祭り太鼓」。

太鼓芸能集団「鼓童」の藤本吉利さんが作曲した「小木まつり太鼓」にあわせて、テンポの速いリズムで太鼓を叩き、カラフルな花飾りをつけた屋台を引きながら、町を練り歩きます。

同じ太鼓による門付けでも、「鬼太鼓」とはまた全く違う雰囲気。

大人も子どもも「わっしょい!」と声を張り上げる姿からは、
見ている皆さんも思わず笑顔になるほどのエネルギーがありました。

小木町には、普段から営業している飲食店に加えて、この日ならではの屋台も並びます。
食べ歩きをしながら、町のあちこちで繰り広げられる伝統芸能を楽しめるのも、このお祭りのおもしろさのひとつです。

日が暮れると、いよいよ祭りのフィナーレへ。

小木港祭りといえば、やっぱり花火です。

約4,000発が1時間にわたって打ち上げられる花火大会。
なかでも名物なのが、三尺玉。

「日本で一番近くで見られる三尺玉」とも紹介されるほど、
港のすぐそばでその迫力を感じられるのが小木港祭りの花火の魅力です。

会場となる小木みなと公園では、花火の前から地元チームによるフラダンスや民謡踊り、歌謡ショーなども行われています。

早めに場所を取って、屋台のものを食べたり、お酒を飲んだりしながら、ゆっくりと花火を待つ人の姿も。

印象的だったのは、花火の合間に流れるアナウンス。

「〇〇ちゃん、入学おめでとう。じいじ、ばあばより」

そんな、誰かから誰かへ贈られるメッセージとともに、花火が打ち上がります。


大きな花火大会でありながら、地域の日常を感じられるところにも、小木らしさを感じました。

そして約1時間、約4,000発の花火を締めくくるのが、いよいよ三尺玉。

「来るぞ、来るぞ」と、会場全体が少しずつそわそわし始めます。

打ち上がった瞬間から、音の違いを感じました。

「どーん」という音とともに、花火が空いっぱいに大きく広がっていき、
立体的な迫力がありました。

花火が散ったあとも、しばらく余韻が残ります。

会場からは拍手が起こり、まるで一本締めのように、
その場にいる人みんなで祭りを締めくくったような感覚がありました。

地元の保育園児から高校生、大人まで、いろいろな世代が一緒になって祭りをつくりあげる「小木港祭り」。

約400年前に始まった祭りが、祈りとして、芸能として、そして町の人たちの楽しみとして、今も続いていることに、驚き、その尊さを感じる1日でした。



少しずつ涼しい風も吹き始め、佐渡もだんだんと秋へ。

紅葉に黄金色の稲穂、おいしい新米やフルーツなど、これからも楽しみがたくさん待っています。

ぜひ、秋の彩りを感じに遊びに来てください。


佐渡三大祭りについて



ライター:

『さどタイムス』エディター
中村 水咲

兵庫県出身。新しい世界への好奇心から、これまでに約40カ国へ渡航。
ラトビアでのアリが添えられたシャーベットとの出会いや、
フランスでクロワッサンとサラダを一緒に食べて怒られるなど、
日常の先にある非日常な体験に心を動かされてきた。
ご縁をいただき辿り着いた佐渡島では、
豊かな自然や文化、食のなかに、 “究極の日本らしさ”を感じ、深く惹かれる。
そんな私から見た佐渡の魅力を、この島からお届けします。